眼のしくみと働き
物体を認識するのは眼ではなく、脳です。よく「眼で見ているのではなく、脳で
見ている」という言葉を聞くことがありますがこれは正しいわけです。
具体的にどういう意味であるのかというと、眼に入ってきた光線は、最初に角膜
で屈折され、瞳孔を通過しますが、このときに瞳孔は光の強さによって明るけれ
ば大きく広がり、光が弱ければ縮小します。
この動きと同時に水晶体は毛様体と連動して、遠くのものに焦点をあわせるとき
には薄くなり、近くのものに焦点をあわせるときは厚くなってピントを合わせます。
角膜、水晶体と屈折された光線は3番目の屈折レンズである硝子体に屈折され
た後、網膜に達して像を映しだすということになります。
このように眼には光を屈折させ、網膜に像を映し出すというしくみが内臓されて
いるわけですが、この段階では、それはあくまで光による刺激でしかなく、「見る」
「見える」という感覚であるというわけではありません。
私達が感じる「見る」「見える」という感覚は、眼球の後方にある視神経から、大脳
の後頭葉にある視覚中枢、そして記憶中枢へと網膜に映し出されている像の情報
が送られ、過去の記憶と比較・検討されてその像が何であるか認識されてはじめて
起こるものです。
これがつまり「眼で見ているのではなく、脳で見ている」といわれる理由です。
子供や老人が不慮の事故に巻き込まれやすい原因のひとつに、この網膜に像が
映ってからそれを認識するまでに時間がかかってしまうからということが指摘され
ています。
眼に何か物体が写ってもそれが何なのか、安全なものか、危険なものかを脳で
判断できなければ、それに応じたリアクションがとれないということです。
夜道や雨のときなど視界が悪いときの車の運転には同様のことがいえ、眼に
入る物体の見極めにかかる時間は長くかかります。
眼からはいる情報が不十分であれば、それだけ判断もつきにくく、結果として
行動にも影響がでてしまうことになってしまうのです。
■ 忘れがちな涙の働きについて
最近はオフィスワークが多い若い女性を中心に涙の分泌量が減少してしまう
ドライアイという目の病気が問題になっています。
ドライアイが増えている原因として、パソコン作業の増加があげられます。
パソコンの画面を眺めるなど、一点を集中して見ることが長時間続くことは眼に
とって非常に緊張が強いられることであり、近視を促進することはもちろんですが、
まばたきの回数が減少してしまい、涙の蒸発が増えてしまうという結果を招きます。
涙にはリソチームという殺菌作用がある酵素が含まれていているので埃やチリ
などのゴミや菌類の進入を防いでいると同時に角膜や結膜に酸素や栄養素を
送っています。
眼にとって重要な役割を果たしている涙が減少する重度のドライアイともなると
問題は非常に深刻なものになります。
目の乾きを感じたら、目薬を何滴も差す人がいますが、これはよくありません。
人口涙液で防腐剤が入っていない目薬であれば問題ありませんが、疲れ眼用
の刺激がある目薬を大量に差す場合は逆効果で目を守る涙を流してしまいます。
同様に洗眼液で目を洗うことも、テレビCMの影響でよくあるようですが、目を
洗ったカップに浮いている油っぽいものは水分の乾燥を防ぐ涙の油分で、ゴミでは
ありません。
むしろ洗眼液は目薬と同様に涙を流してしまううえ、洗眼によって、まつげやまぶた
に着いている汚れや花粉を目の中に入れてしまい、逆にドライアイや感染症を
生む原因となっていることがあります。